参院選2019検証-宮城選挙区-愛知治郎氏の敗因と石垣のりこ躍進の明暗

      2019/08/19

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参院選2019を振り返って-参院選宮城県選挙区-

立候補表明2か月の新人・石垣のり子(立憲民主党公認)が、3期18年の実績を誇る現職・愛知治郎(自民党公認)を破る結果に終わった参院選宮城県選挙区。

今回は、地方選挙を中心に現代日本政治の分析を行っている河村和徳准教授(東北大学大学院情報科学研究科)に参院選宮城県選挙区の結果分析及び宮城県内における今後の見解を伺った。

「自民党=農家に強い」という方程式は崩れた?

河村和徳准教授(以下「河村」) 今回の参院選では、与党(自民党)は青森及び福島県でしか議席を獲得できないという結果に終わった。前回参院選(2016年)においても、与党は秋田県しか議席を獲得できなかった。このような結果は、東北6県に共通する“農業県”という特徴が大きく関わっていると分析している。

参議院議員選挙2019宮城選挙区では磐石と見られた愛知治郎候補が惜敗の結果となった。対して石垣のりこ候補にとっては三代の議席を奪う大金星となった。(愛知治郎氏公式サイトより)

参議院議員選挙2019宮城選挙区では磐石と見られた愛知治郎候補が惜敗の結果となった。対して石垣のりこ候補にとっては三代の議席を奪う大金星となった。(愛知治郎氏公式サイトより)

 

農業県において野党が勝利したということは、裏を返すと「与党・自民党は農家に強い」という神話は崩れたと言える。その背景には、安倍内閣が打ち出した「輸出産業に重点を置いた政策」が大きく関わっている。輸出産業を整えるために、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉やEPA(経済連携協定)締結などで貿易の自由化を進めた。農業県はアベノミクスの恩恵を受ける輸出産業が少なく、貿易の自由化を進めることで農業・漁業に対して厳しい政策が打ち出されたのは言うまでもない。

宮城県の中でも、大崎市・栗原市・登米市は与党候補に比べ、野党候補が得票しているということから、確実に農業票は自民党に流れなくなったと言える。ここから、安倍内閣が進めてきた第一次産業に対する諸改革が選挙結果として表れていると考察できる。

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石垣候補の勝因

河村 石垣の勝因は様々考えられるが、石垣には女性票が多く集まっただろうと推測される。女性候補が出馬しているだけで女性候補に票が流れやすいのが選挙の鉄則である。

さらに、石垣は大変話が分かりやすく、有権者の共感を得ていた。有権者の共感を得るという点では、石垣は、「アグリファーストで農業を保護する」、「消費税ゼロで家計を守る」などと主張していたが、石垣自身、エフエム仙台のラジオパーソナリティー時代に、地元農産物のコラボ商品を作る企画立案した経験があるほか、子育ての経験などから、主張に説得力が生まれた。

立憲民主公認の石垣のりこ候補-初の出馬で自民党宮城県連会長、党の要職も歴任した愛知氏を劇的な選挙戦で破った。(石垣のりこ氏公式サイト)

立憲民主公認の石垣のりこ候補-初の出馬で自民党宮城県連会長、党の要職も歴任した愛知氏を劇的な選挙戦で破った。(石垣のりこ氏公式サイト)

 

先述のような主張をすることは当たり前のようだが、これまでの野党候補は、「安保・憲法をどうするか」を主張することが多く、そのことでかえって有権者の関心が薄くなってしまっていたと思われる。もちろん、安保・憲法は重要な論点であるのは間違いない。だが、石垣は、安保・憲法の前に、まず国民の生活に直結する問題に重点を置いて訴えたのだ。

一方、野党というのは、極端なことを言って集票せざるを得ないところがあり、その例としてトランプ大統領や橋下徹元大阪府知事などが挙げられる。特に、“新人”野党候補は、しがらみがない分、物事をはっきり言えることが強みである。

参院選結果は、野党の追い風となるのか

河村 今回の参院選結果は、野党の追い風にはならないと思われる。なぜならば、野党は候補者を立てられないからである。本来であれば、地方議員をたくさん擁立し、野党の地盤を強化していくことが求められる。地元において、党員や地方議員の“生え抜き”を育て、党員を立候補させることが必要である。地方議員は、国政選挙でいくら野党共闘していたとしても、地方選では敵同士であることを忘れてはならない。

一方、自民党は「組織に依存した選挙の危険性」から、ある程度の危機感を抱いて地方選に臨むであろうし、「組織を固める」といった方針だけではなく、浮動票を狙った選挙戦を行わなければならないと切り替えてくる人もいるのではないかと思われる。これらのことから、今回の参院選は自民党候補の意識に大きく影響を与えるものだと推測される。

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