【連載】「一帯一路」の輪郭(4)中・モ・ロ経済回廊は成功するのか(福島大・朱准教授)

      2019/07/18

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「中・モ・ロ経済回廊」が直面する課題

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同経済回廊が直面する課題について触れたい。

最大の問題は、同地域における人口密度が低いことだ。

中国側(東北部)の人口は約1億1000万人、中国全体で見れば人口密度は低いが、ロシアとモンゴルはもっと低い。

ロシア極東地域は人口が約620万人、モンゴルは約320万人。

特にモンゴルでは西部が経済の中心であり、東部の経済発展はかなり遅れている。

地域全体における市場規模が非常に小さいという点で、他の5本の経済回廊に比べディスアドバンテージがある。

 

それ故、高速鉄道などを作っても、そのメリットが見えにくい。

この地域は高低差が小さいため、高速鉄道を敷設するのはさほど難しくないが、誰がその電車に乗るのか、何をどこに運ぶのかを明確にしなければ、赤字路線になるのは目に見えている。

そもそも中国東北部、ロシア極東、そしてモンゴル東部は、それぞれの国にとっての僻地だ。

具体的な戦略を打ち出さなければ、採算の取れる鉄道路線を作ることは困難と言える。

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「中・モ・ロ経済回廊」は成功するのか

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短期的に見れば、この地域の住民同士でいくら頑張っても、貿易量が急速に拡大することない。

例えば、ロシア側が求める日用品や建材は、中国の南方から運ばれている。

中国東北部では重化学工業、鉄鋼業、農業が中心で、地域間における経済的なミスマッチが存在するのだ。

 

しかし、もともと鉄道などのインフラが脆弱であった地域だ。

一帯一路で作ったインフラを北東アジア全体の資源・公共財にしていく、という考え方があるのであれば、長期的には成功を収める可能性がある。

また、地域間での人材の需要は高い。

例えば近年、ロシア極東の大学では中国語学科の学生が急増し、モンゴルから大量の学生が中国に留学するなど、経済交流のプレーヤーは確実に増えている。

 

かつて、中国東北部の主要都市から国境までの道路や鉄道がなく、地元政府の関係者は皆「とにかく作れ。作れば経済が発展する」と息巻いた。

ところが今や、中国東北部のハードインフラの整備は、ほぼ全てが完成してしまった。

あとは、これをどう活用していくか。

これから求められるのは、「金」ではなく「知恵」だ。

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