【連載】「一帯一路」の輪郭(4)中・モ・ロ経済回廊は成功するのか(福島大・朱准教授)

      2019/07/18

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「一帯一路」とは何か。陸と海における現代版シルクロードとも呼ばれるこの経済圏構想は、2014年11月、中国・習近平国家主席によって提唱され、今やユーラシア大陸にとどまらず世界各地に広がりを見せている。

世界のメディアや研究者らが注目し、様々な言説が飛び交う中、我々は「一帯一路」をどう捉え、そして向き合っていくべきなのか。本連載では各専門家への取材等を通じ、巨大プロジェクト「一帯一路」の様々な側面を切り取ることで、その輪郭・全体像を浮き彫りにしていく。

前回の記事

【連載】「一帯一路」の輪郭(3)変化する物流(福島大・朱准教授)

 

一帯一路における「中・モ・ロ経済回廊」

出典:香港貿易発展局

北東アジア地域を貫く「中・モ・ロ経済回廊」は、上図の6つの経済回廊のうちの1つである。

その主眼については諸説あるが、基本的には、中国東北部(黒龍江省、遼寧省、吉林省)をロシア・モンゴルとの経済交流の玄関口とするための取組である。

中国東北部では、1990年代から「図們江国際輸送回廊」(朝鮮半島の東北部,北朝鮮と中国およびロシアの国境をなす河川「図們江」流域の輸送ルート開発プロジェクト)、「綏芬河国際輸送回廊」(黒龍江省および吉林省とウラジオストクをはじめとする沿海地方の海港をつなぐ輸送ルート開発プロジェクト)の建設計画が始まっていた。

最近は耳にすることのなくなった両回廊だが、「中・モ・ロ経済回廊」の土台はこの2つの計画であると言えるだろう。

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「中・モ・ロ経済回廊」の完成モデル

https://pixabay.com

 

 

同経済回廊はどういった完成モデルを想定しているのか。

まずハード面についてみていく。

同地域での人的、物的交流を進めるにあたっては2つの方法がある。

1つは鉄道、もう1つは道路だ。

線路よりも道路を作る方が簡単だが、同地域は広大な面積を持つため、長距離のヒト・モノの移動に適した鉄道が重要となる。

現状、中国側では高速鉄道の整備が急速に進んでいるが、ロシア側には高速鉄道がない。

「船に比べて輸送スピードが速い」という鉄道の特徴を活かすためにも、ロシア側の高速鉄道の整備は重要だ。

モンゴルでは、鉄道が敷設されているのは首都・ウランバートルのある西部が中心であり、そもそも中国に近い同国東部は鉄道自体が整備されていない。

同回廊建設においては、これらハード面での整備を進めることが第一義的な目標であり、地域間における鉄道の輸送能力とスピードを高めていくことが重要だ。

 

次にソフト面について、詳細は第2回で述べたとおり、貿易の拡大においては、国境をまたぐ際に必要な「CIQ」(税関、出入国管理、検疫)のスピードアップ、手続きの簡素化、そして通関費用を下げることが必要となる。

 

最後に、エネルギー資源開発について触れたい。

ロシアから中国への天然ガス供給は既に両国の合意の下で進められており、大きな問題はない。

今後の課題として挙げるならば、モンゴルにおける資源開発だ。

モンゴル東部には石炭や銅などの地下資源が眠っており、中国、ロシア、そして日本もその開発に携わっている。

現状では、中国との国境沿いで石炭の開発が進められ、それが主にトラックで中国に運ばれているが、今後はモンゴル・中国の国境における鉄道建設も検討されるだろう。

環境に配慮しながらどうやって資源開発を進めるのか、という技術的な課題もあり、地域・国家間での協力が不可欠だ。

 

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