【連載】「一帯一路」の輪郭(5)「新ユーラシアランドブリッジ」経済回廊(福島大・朱教授)

   

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「一帯一路」とは何か。陸と海における現代版シルクロードとも呼ばれるこの経済圏構想は、2014年11月、中国・習近平国家主席によって提唱され、今やユーラシア大陸にとどまらず世界各地に広がりを見せている。

世界のメディアや研究者らが注目し、様々な言説が飛び交う中、我々は「一帯一路」をどう捉え、そして向き合っていくべきなのか。本連載では各専門家への取材等を通じ、巨大プロジェクト「一帯一路」の様々な側面を切り取ることで、その輪郭・全体像を浮き彫りにしていく。

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【連載】「一帯一路」の輪郭(4)中・モ・ロ経済回廊は成功するのか(福島大・朱准教授)

新ユーラシアランドブリッジ経済回廊

出典:香港貿易発展局

2019年2月、物流施設の調査のため重慶市と四川省成都市に足を運んだ。

両市は、中国国内を東西に横断し欧州に向かう「新ユーラシアランドブリッジ経済回廊」の最重要地域の1つである。

同回廊はもともと「チャイナランドブリッジ」(大陸橋)と呼ばれた物流ルートだ。

その出発点は、江蘇省にある連雲港、または100円ショップで売られるような日用雑貨の製造で有名な浙江省義烏市、いずれも、中国の中部における物流のハブとなっている鄭州市(鉄道ターミナルは世界第2の規模を誇る)を経由し、欧州に向かう。

今回、この「チャイナランドブリッジ」が「一帯一路」という枠組みにおいて、「新ユーラシアランドブリッジ」と名前を変えて再スタートを切った。

ここで改めて近年的な意義を定めるならば、沿海部の連雲港(江蘇省)や義烏(浙江省)というより、むしろ重慶や成都を中心とする中国内陸部の経済発展に主眼を置いている点であろう。

つまり、国際鉄道貨物便「中欧班列」の利用拡大による内陸部の経済発展だ。

 

 

めざましい発展を遂げる重慶と成都

重慶市の街並み 出典:https://pixabay.com

 

重慶と成都は、中国内陸部の経済発展において欠かせない存在だ。

近年では、中国の自動車大手がこぞって両市に製造拠点を設けている。

現在成都では、年間約200万台の乗用車を製造しており、近年はほぼ毎年、生産台数で10%以上の伸びを記録し、自動車部品を含めた関連企業は成都だけで300社を超える。

伝統的に中国の自動車製造が強い地域は「第一汽車」の長春、「上海汽車」の上海、「広州汽車」の広州などがある。

しかし、国内の物流環境が整ったことにより、各社、製造拠点を徐々に内陸部に移すようになっており、その象徴的な都市が重慶と成都だ。

またこのほか、プリンターやPCをはじめとするICT関連機器の製造も盛んとなっている。

 

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