G20を通して見えた米中の思惑

      2019/07/13

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6月28日から29日にかけて開催されたG20の直前、中国の習近平氏は北朝鮮を電撃的に訪れた。これには、G20での米中首脳会談の合わせ、北朝鮮との関係を内外に示し、米国を牽制する狙いがあった。また、米中貿易戦争の中、交渉を有利に進める思惑もあったことだろう。

一方、トランプ氏もG20の翌日、南北国境にある板門店を訪れ、金正恩氏と会い、急遽米朝会談を実現させた。習近平氏の訪朝に刺激を受けたのかは分からないが、中国を牽制し返す狙いはあったはずだ。そして、トランプ氏は金正恩氏をホワイトハウスに招待すると述べたという。また、来年11月に大統領選挙を控えるトランプ氏は、アピールできる外交実績を求めている。ハノイでの第2回米朝会談以降、両国関係は停滞気味で、北朝鮮との関係を何とかして前進させたいという思惑もあったことだろう。

G20やG7の意義

G20大阪サミット写真

このような米中の思惑をみると、G20やG7の意義とは何かを考えさせられる。例えば、G7は戦後の世界経済を主導してきた先進国の集まりだが、今後それはどこまで正当性を持つのだろうか。今後の国際情勢に照らすと、中国やインドなどは欧州各国や日本以上の経済大国になることが予想され、G7という集合体と国際社会とのギャップはさらに大きくなることだろう。そして、現在、G7の参加国である米国と英仏独などとの間で亀裂が生じていることは、中国やロシアに大きな隙を与えている。

そして、今回のG20でも、多国間主義的な首脳宣言が採択されたものの、米中など首脳たちの頭の中にあったのは、自分たちに有利な政治環境を作り出そうという国益第一主義だったといえる。メディアの注目も、米中首脳会談やその後の板門店での米朝会談にほぼ集中した。今後、米中関係がますます悪化したら、例えば、中国がもうG20に参加せず、一帯一路やAIIB、上海協力機構など自らが主導する枠組みでG20やG7に対抗してくるシナリオも十分に描ける。自由・民主主義諸国が主導する世界的な枠組みはどこまで効力を持つのだろうか。

主導者のいない「Gゼロ世界」に突き進むグローバル社会

このような有力な指導者のいない世界を、米国の国際政治学者イアン・ブレマーは「Gゼロ世界」と呼んでいるが、世界は着実にその道を進んでいる。トランプ大統領の誕生のように、グローバルなリーダーシップを発揮してきた米国がそれを放棄し、各国が国益第一主義を重視する世界においては、G20やG7、そして国連などはいっそう厳しい立場に立たされるだろう。多国間主義、国際協調主義などといった理念は重視しなければならない。しかし、今後の世界でこういった普遍的理念が再び脚光を浴びることは考えにくい。

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