インドは中国とどう付き合っていくのか

   

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インド総選挙で勝利したモディ首相は、6月8日から9日にかけて、第2次政権で初の外遊先としてモルディブとスリランカを訪問した。

まず、モディ首相は、モルディブで昨年11月に就任したソリ大統領と会談し、政治経済分野で関係を緊密化させていくと発表した。両者は昨年12月にもニューデリーで会談しているが、その際、モディ首相は最大で14億ドルもの財政支援をすると発表した。ソリ大統領の前任のヤミーン大統領が親中派だったことから、“脱中国”路線のソリ大統領が誕生したことで、モルディブを巡る印中間の新たな競争が始まっている。

中国への牽制姿勢を示すインド

続いてモディ首相はスリランカを訪問した。スリランカでは4月21日にイスラム国(IS)が関連する大規模なテロ事件が発生したが、モディ首相は9日、シリセナ大統領と会談する前にテロ現場となった聖アンソニー教会を訪れ、インドはスリランカとともにテロに断固として戦うとの決意を示した。

今回、モディ首相が自らの裏庭と位置付けるインド洋の国を訪問したことにはどんな政治的な意味があるのか。まず考えられるのは、中国への牽制だ。中国は、モルディブとスリランカだけでなく、パキスタンやバングラデシュ、ミャンマーなど、インドを包囲するかのように経済的な梃入れを強化しているが、その目的はインド洋での影響力を高め、中国とアフリカを繋ぐ海上航路を作ることにある。

インドは、それに強い懸念を持ち、インド洋の覇権は大国には譲らないとする強い意志がある。5月の総選挙で同じく勝利したオーストラリアのモリソン首相が、再任後の初の外遊先でソロモン諸島を訪問し、最大188億円の資金協力を表明したことは、今回のモディ首相の訪問と同じ意味があると考えられる。

インドが中国との関係で抱えるジレンマ

しかし、インドは対中で牽制ばかりはできない。現在、インドにとって中国は切っても切れない貿易相手国であり、例えば、インドは中国の主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の最大の被援助国でかつ、中国に次ぐ出資国となっている。今後の経済成長や人口増加を視野に入れると、インドにとって中国との経済関係は欠かせない。

モディ首相のこの姿勢は、安全保障の世界でも見える。例えば、安倍首相が提唱した「自由で開かれたインド太平洋構想」についても、モディ首相は以前に、「限られた国々によるクラブではない」と日本や米国とは違う姿勢を示し、オーストラリアが日米印の3か国による合同軍事訓練「マラバール」に参加したいと打診したい際、それを拒否した。

今のモディ首相は、対中で“牽制”と“協力”という、相反する2つの側面で難しい舵取りを余儀なくされているといえよう。政治と経済の狭間で抱えるジレンマの中、どう中国と付き合っていくか、これが第2次モディ外交の最重要課題といっても過言ではない。

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