南太平洋で警戒を強めるフランスとオーストラリア

   

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近年、中国の南太平洋への影響力拡大が顕著であるが、スリランカやパキスタンが債務の罠にはまったように、中国は南太平洋でも同じようなことを狙っているのだろうか。そのような中、南太平洋に権益を持つフランスやオーストラリアが中国への警戒感を強めている。

中国の進出に警戒を強めるフランス・オーストラリア

ニューカレドニアの伝統的な丸木舟

仏領ニューカレドニアの伝統的な丸木舟

フランスは南太平洋にニューカレドニア、ワリス・エ・フトゥナ、仏領ポリネシアなどと領土を有する。フランスは6月2日、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議(シャングリラダイアローグ)のスピーチの中で、「フランスはインド洋、南太平洋に160万人もの国民、島々、広大な排他的経済水域を持っており、今後も同地域へ関与し続ける」とし、「フランス海軍の南シナ海への航行だけでなく、瀬取りなど北朝鮮の海上での違法取引を取り締まるため多国間協力を強化する」と主張した。

5月の総選挙で勝利したオーストラリアのモリソン首相も6月3日、南太平洋のソロモン諸島でソガバレ首相と会談し、今後10年間で188億円もの巨額の経済支援を行うと発表した。オーストラリアの首相がソロモン諸島を訪問するのは11年ぶりとなる。現在、ソロモン諸島は台湾と国交が有するが、ソロモン諸島の輸出額の6割以上を中国が単独で占め、最大の貿易相手国となっており、2017年には中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」がソロモン諸島に高速インターネットの設置を提案するなど、その影響力は高まるばかりだ。

では、そもそも中国はなぜ遠く離れた南太平洋へてこ入れするのか。

南太平洋は中台の国交獲得競争最前線

今年3月にパラオなど南大西洋諸国を訪れた台湾の蔡英文総統(写真左)

まず、台湾の存在だ。去年、新たにドミニカとエルサルバドル、ブルキナファソが台湾と国交を断絶し、現在、台湾と国交を持つ国は17か国にまで減少しているが、そのうち6か国が南太平洋にある。南太平洋は、中台の国交獲得競争の最前線なのだ。よって、中国にとってはそれだけでも政治的意味がある。

また、軍事的な戦略もある。中国は、九州から沖縄、台湾、フィリピンへと伸びる第一列島戦を絶対的な防衛ラインとし、いずれは伊豆半島から小笠原諸島、サイパン、グアムなどへ伸びる第二列島線まで進出し、米国をそれ以東に追いやり、西太平洋での覇権を目指している。よって、第二列島線上の位置するパラオから以東、すなわち米軍のプレゼンスが薄いポリネシアやメラネシアなどで軍事的な影響力を強化し、太平洋上でのプレゼンスを強化したい狙いがある。

今後、南太平洋を取り巻く安全保障環境は大きく変化するかもしれない。日本としては、日米同盟を基軸としつつ、オーストラリアやニュージーランド、フランス、そして、同じように中国のインド洋での影響力拡大に懸念を示すインドやイギリスなどと安全保障上の協力をいっそう強化すべきだ。特に、インド洋は日本のシーレーン上にあることからも、多国間安全保障が今後いっそう重要となる。

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