クライストチャーチの悲劇と今後のテロ情勢

   

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事件後3日後も献花に訪れた人やメディアが数多く集まる(photo by Roger 8 Roger)

事件後3日後も献花に訪れた人やメディアが数多く集まる(photo by Roger 8 Roger)

ニュージーランド・クライストチャーチで15日、オーストラリア国籍の白人の男が市内にあるモスク2カ所で無差別に銃を乱射し、これまでに、パキスタンやシリア、インドネシア国籍のイスラム教徒など50人が死亡した。男は28歳のブレントン・タラント容疑者で、事件直前、ニュージーランドのアーダン首相や国会議員など数十人に犯行に関するメールを送り、襲撃中のシーンをネット上でライブ配信していた。また、事件が起きたのが金曜日のイスラム教の礼拝中ということもあり、男は事前に十分な計画を練っていたことがうかがわれる。男は、声明文の中で反イスラム感情、移民排斥、白人至上主義などを掲げ、アーダン首相もテロ事件と断定して捜査を開始した。

20世紀以前からあった白人至上主義のテロリズム

今回のテロ事件は、犠牲者が50人に上ったこと、ニュージーランドという安全で平和なイメージがある国で起きた点などで世界に衝撃を与えたが、この種の白人至上主義的なテロは、決して新しいものではない。白人至上主義者によるテロは20世紀以前にも見られたし、近年では、イスラム国とシリア内戦を契機とする欧州への移民・難民の大量流入も影響して、白人優位を掲げる極右的なテロ事件は欧米各国で増加傾向にある。米国ではここ数年、イスラム過激主義によるテロ以上に、白人至上主義なテロの方が数としては多い。

欧州を襲った史上最悪の個人テロ事件との共通点

ノルウェー連続テロ事件発生時の様子(photo by N.Andersen)

ノルウェー連続テロ事件発生時の様子(photo by N.Andersen)

また、今回の事件を目撃して、筆者は2011年7月にノルウェー・オスロで発生した連続テロを思い出す(77人死亡)。テロ事件は、首都オスロにある政府庁舎が爆破され、またその近くにあるウトヤ島で銃乱射事件が発生し、77人が犠牲となったものだが、容疑者のアンネシュ・ブレイビクという白人金髪のノルウェー人は、“イスラム主義から自国を防衛するのは使命である”とし、“異文化へ寛容な政策を採り続けるノルウェー政府に不快感を抱いていた”とされる。このブレイビクの信念というものは、今回タラント容疑者が表明した考えや動機と変わるものではない。

イデオロギーの対立の深化への懸念

既に世界では、テロの負のスパイラルは生じているが、今回の事件は、他の白人至上主義者たちを刺激し、さらなる白人至上主義テロに拍車をかけるリスクがある。一方、アルカイダ系やイスラム国系のテロ組織、またそれらの信奉者たちは、既に報復を呼び掛ける多くの声明を出している。一回の白人至上主義テロで、イスラム過激派がこれほど多くの報復的声明を出すのは非常に珍しいが、“白人至上主義vsイスラム過激主義”のようなイデオロギーの対立が今後さらに深まることが懸念される。

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